相続放棄の弁護士選び-体験して分かった法律事務所探しのコツとポイント
相続放棄は1回勝負です。
失敗したら親や親族の借金を背負うことになってします。
手続きを法の専門家に依頼するのは確実に相続放棄したいからですが、弁護士の知り合いなどいない場合、誰に頼んだらいいのか悩みます。
「どこに依頼するのがいいのか」と言ったら、「相続放棄に詳しい法律事務所」です。
…では、それはどこ?となると分かりません。
私が弁護士さんを探したときに感じたコツらしきものをお伝えします。
弁護士/司法書士を探す
依頼する弁護士事務所を決めるまでに軽く10軒は電話しました。
20軒くらいしたかもしれません。
相続放棄に強いとはとても思えない法律事務所も実在します
たとえば…
父(被相続人)の死から10年近くたっていると聞いて 「あのね。相続放棄っていうのは3ヶ月以内でないとできないの。だからあなたのケースは債務整理になるねぇ」 と答えた人とか。
その電話をかけた時には、相続放棄の熟慮期間というのが被相続人の死亡日からではなく、法定相続人が相続の開始を知った日から起算するものと知っていたので、適当に電話を切り上げました(笑)
詳しくはこちらに
もし、あの電話で言われたことを鵜呑みにして相続放棄をあきらめていたら、今頃私は2550万の債務者でした。
他には… 信用保証協会の相続債務の話だと言っているのに「通知してきたのは、サービサーですか?」と最初に聞いてきた事務所も、ちょっと…
保証協会の債務は、サービサーに回収業務が委託されても、こちらとしては何も変わりません。
詳しくはコチラに
おそらくこの質問をした意図は、サービサーなら減額交渉で債務を大幅に減らせると考えたからかと思います。
消費者金融等の借金なら、まあそうみたいですが… 信用保証協会の債務を法定相続した身には意味のない話です。
相続放棄の手続きには、債権者が何者であるかは、実はたいして関係ありません。
手続きの代理人が「サービサーだから余裕」と思っていたとしても、裁判所の判断には影響しないので。
ただ、この「サービサーですか?」から、この事務所は相続放棄よりも債務整理を得意としているのかな?と想像がつきます。
適当に話を合わせて切り上げました(笑)
さらに…
「時効が成立しているかもしれないから、とりあえず時効援用をしてみましょう」と言う法律事務所も…
時効援用に失敗すると債務を承認したものと解釈され、相続放棄ができなくなる可能性もあるのに…
詳しくはコチラに
この時効援用と相続放棄の関係もまた、判断の分かれるところのようですが、信用保証協会の債務に事実上時効はありません。
試しにする時効援用は、危険があるだけで実りの望めない行為です。
せめて時効が完成しているか確認することを提案してくれないと…
法の適用には解釈の違いなどによるグレーゾーンが多く、同じ相談に対してA社とB社で違う回答ということがあるかもしれません。
それでも、あきらかにおかしいことを言っている事務所には依頼しないほうがいい…しませんよね(笑)
「3ヶ月」「時効援用」この辺りは、わりと有効なキーワードと思います。
信用保証協会の債務を相続放棄しようとしている人には「サービサー」もまずまずのキーワードです。
これである程度依頼先候補を絞れます。
相続放棄の経験の多い事務所を選ぶ
こちらの事情を話したとき、「似たケースを取り扱ったことがある」とか「同じようなケースで申し立てが受理された判例がある」とか、そういう返答をした法律事務所に依頼しましょう。
「私のようなケースで相続放棄できた例はありますか?」と聞けば、答えてくれます。
すべての法律家がすべての判例を把握しているわけではありません。
相続放棄について調べてみただけでも、法律は実に複雑で、すべてのジャンルに精通するのは、ほぼ不可能だろうと感じます。
相続放棄の申し立ては、裁判所に「相続放棄をする条件を備えている理由」を説明して納得してもらうことです。
裁判所の納得する説明を上手に書いてくれるのが、法律家の仕事で、相続放棄の成否を分けるところです。
上手に書いてくれるのは、相続放棄を多数経験している人です。
とにかく!相続放棄の手続きを多く扱っていて知識の深い法律家に依頼してください。
経験が豊富な事務所であれば、弁護士さんでも司法書士さんでも、どちらでもいいです。
資格の種類よりも相続放棄の経験と知識が重要です。
※稀に裁判所に出向いて事情を説明する必要が出ることがあり、この場合、弁護士であれば裁判所へ立ち会ってもらえます。
複雑な事情がある場合は、弁護士限定で探した方がいいと思います。
料金に含まれる手続きを確認する
正式に依頼する前に確かめてほしいことがもうひとつあります。
料金についてです。 相続放棄を依頼する料金は大体10万が相場です。
相続放棄ができなかった時に負う債務の額にもよりますが、あまり弁護士料はケチらないほうがいいです。
ただ、料金に含まれるサービスの詳細は確認して下さい。
具体的には
- 相続放棄申述書に添付する役所の証明書類の取り寄せも請け負ってもらえるのか
- 申述後に裁判所から送られてくる照会書への回答の仕方を具体的にアドバイスしてくれるのか
この二つが入っているかどうかです。
特にふたつめの照会書への回答が大事です。
役所の戸籍証明を取ることは、面倒なだけで取得にテクニックは必要ありませんが、照会書への回答を失敗して相続放棄が受理されないこともあります。
ここは必ず専門家のアドバイスを受けた方がいいです。
書き方のマニュアルをくれる事務所もあるようですが、そうではなく、実際の照会書を見せて、どう書いたらいいのか具体的に教えてくれる事務所を選んで下さい。
近所の事務所でなくても差し支えない
すべて、電話、メール、郵便で事足ります。
法律事務所へ出向くことができなくても、特に困ることはありません。
ご自宅の近くのほうがいいとは思いますが、お近くによい事務所が見つからない場合は、全国対応の法律事務所をあたってみるのをおすすめします。
適切な事務所を数社紹介してくれるサービスもあります。紹介料はかかりません。