相続放棄の熟慮期間三か月の起算日は?期間中に受理されなかったら?
相続放棄の熟慮期間は3ヶ月だとよく言われます。
「相続放棄は三か月以内に」と。
検索して最初に知るのがこれかもしれません。私がそうでした。
この「3ヶ月」とは、どの時点からの3ヶ月なのでしょう?
被相続人が死亡した日からと考えがちですが違います。
「相続の事実を知った日から3ヶ月」が正解です。
これも検索する中ですぐに分かると思います。
ではその「相続の事実を知った日」とはいつのことなのでしょう。
相続の事実を知った日とは
被相続人(相続される人のことです。ここでは親などの死亡者のことです)が死んだ日が相続を知った日であるとは限りません。
親が死んだことをずっと後になってから知ることもあり得ますし、放棄された相続が回ってきたけれども被相続人とは会ったこともないという話すらあります。
死んだ日ではなく、死んだことを知った日なのかというと、これも違います。
死亡の知らせを受けた日に相続を知るとは限らないからです。
資産家の親が死んだとなれば、相続財産があるとは思わなかったと言っても通用しないかもしれませんが、これも事情によります。
親族の死に際して相続ということに思い至らなかったならば、ずっと相続の事実を知らなかったことになります。
相続放棄の熟慮期間の3ヶ月とは、あくまで「相続の事実を知った日から3ヶ月」です。
相続の事実というのは、あなたが死んだ人の遺産を相続する立場にあると知った日です。
ここで話している相続放棄の件で言えば
親が死んだときには、遺産などないものと思って放置していた
↓
実は親に借金があった、あるいは親が債務の連帯保証人だったことが5年後に分かった
この場合、債務の存在の分かった5年後の日が熟慮期間の起算日になります。
私の場合ですと、父の死後15年経った年の4月2日に信用保証協会からの通知が届き、そこに父が倒産した某社の連帯保証人であったことが書かれていて、父に債務があったと知りました。
そして私は法廷相続人だと書かれていたのですごく焦りましたが、弁護士さんが熟慮期間の意味を説明してくれたので一安心。
私の相続放棄熟慮期間は通知日の4月2日から3か月後の7月1日の3ヶ月間でした。
他にも、亡くなった人の子供たちが全員相続放棄をしたので、兄弟姉妹に相続が回って来た場合なども、兄弟姉妹は、自分が相続することになるとは思っていないでしょう。
通常、子供のある人なら相続は配偶者と子供たちだけで済むものなので。
こういう時も同様に自分に相続が回って来たと知った日が熟慮期間の起算日です。
知るきっかけは、子供たちからの連絡かもしれませんし、債権者(信用保証協会など)からの通知かもしれません。
いずれにしろ、相続を知った日から3ヶ月の間は相続放棄を申し立てられます。
相続の事実を知った日を証明する必要がある?
私の場合は、信用保証協会からの通知書で知ったので、裁判所に相続放棄申述書を提出する際に保証協会の通知書のコピーを一緒に送りました。
それ以前には相続を知らなかったことを証明する方法がないのが心配でしたが、そうしたものは不要でした。
ただ、死亡から相続放棄までの期間が開いている理由を書いた「上申書」も添付しました。
(弁護士さんに書いてもらいました)
その後、裁判所から照会書が送られてきます。
照会書は来ない場合もあるようですが、被相続人の死から3ヶ月以上が経過している場合は、たいてい送られてくると思います。
相続放棄にまつわる事情に関する裁判所からの質問が記載された用紙で、そこに回答を記入して返送するものですが、死亡から相続放棄の期間のある理由を問う質問があれば、そこにもこちらの事情を書き込みます。
つまり…
- 債務についての通知書等書類(任意で添付)
- 上申書(任意で添付)
- 照会書への回答(照会書が送られて来た場合は回答必須)
それらの説明で裁判所に納得してもらえれば、証拠になるものは必要ありません。
相続放棄の手続きとは、裁判所に対する申し立てとその説明なのです。
3ヶ月以内でなければならないのは相続放棄の申し立てなのか、申し立ての受理なのか
申し立てです。
相続放棄申述書提出→照会書が送られてくる→照会された質問に答えて返送→裁判所で受理→裁判所から相続放棄申述受理証明書が送られてくる
というステップで進みますが、大部分が裁判所のペースで進行するもので申し立て人の立場では期間をコントロールできません。
うちでは1ヶ月くらいかかりました。
詳しくはコチラに
もし裁判所で受理されるまでの期間が3ヶ月と定められているなら、実質的な熟慮期間は2ヶ月程度しかないのかな?と疑問でしたが、そうではありません。
熟慮期間中(3ヶ月)に済ませなければならないのは、裁判所に相続放棄申述書を提出して受領してもらうところまでです。