相続放棄しても遺族年金は受け取れます
相続放棄は、被相続人の残した財産のすべてを(プラスの財産もマイナスの財産も)受け取りませんと宣言することです。
相続財産の中で、受け取りたいものだけ受け取って、他は放棄するといったことはできません。
借金を回避するなら預金や土地などのプラスの財産も放棄するしかありません。
でも、これは相続財産に属するものの話です。
遺族年金はどうなるのでしょう?
遺族年金と相続放棄
たとえば年金を受け取っている夫が亡くなったとき
- 妻は存命で夫の年金で生活していた
- 夫には負債があり残した資産は借金のほうが多かった
このケースで考えて見ると…
配偶者(妻)はどんな場合でも法定相続人です。
この場合、夫の残した遺産はトータルでマイナスなので、相続放棄を検討することになると思います。
でも
亡夫の受給していた年金で生計を立てていた場合、遺族年金を受け取りたいとも考えるはずです。
相続して夫の残した借金を背負う代わりに遺族年金を受け取るか、相続放棄して借金との縁も切る代わりに遺族年金を諦めるか…
こんなふうに迷ってしまうかもしれませんが、この心配は無用です。
遺族年金は相続財産には含まれません。
遺族年金は遺族が固有の権利に基づいて受給するもので、相続とは別の話になります。
なので相続を放棄しても夫の遺族年金は受給できます。
遺族年金の受給を開始してから相続放棄をすることも可能です。
遺族年金を受給できる条件
遺族年金の受給要件は国民年金加入者と厚生年金加入者で違います。
ここに書いてありますが…
細かい定めがあり、条件を満たしているのかどうか不明な時は、年金事務所へ行くと丁寧に教えてくれます。
いずれにせよ、遺族年金の受給に相続放棄は影響しません。
遺族年金の受給要件に合致せず、遺族年金を受け取れなくなってしまった場合でも「死亡一時金」が受け取れることがあります。
こちらの受給要件は、「死亡した人の配偶者、子、両親、祖父母、兄弟姉妹で、死亡時に死亡者と生計を同じくしていた人」です。
死亡一時金の受給も相続放棄とは関係ありません。