時効を過ぎているはずの債務の返済を請求される理由
信用保証協会の債務の話です。
保証協会から、「あなたは連帯保証人〇〇様の法定相続人なので、今後の返済について話し合いに来てください」という通知が届いたとき、「ずいぶん昔の借金の話」だなと首を傾げたかもしれません。
私もそうでした。
保証協会から突然届いた「通知書」には、私の亡父が連帯保証人だったA社の債務を、法律上私が相続したことになっていると書かれていますが、その会社が倒産したのは15年前です。
通知にある「代位弁済日」も15年前の日付になっています。
借金には時効があり、15年前の借金など借りた本人であっても取り立てられる理由がないはずです。
なぜこの債務が時効にかからず生きているのか、私にはまずそれが不思議で仕方がありませんでした。
なぜ10年以上前に倒産した会社の債務の時効が完成していないのか
これには大きく分けて2通りのパターンがあります。
時効成立の条件は揃っているけれども債務者からの時効援用がされていないケース
ひとつは、時効は債務者が援用することによってはじめて有効になるという理由です。
たとえば消費者金融でお金を借りたけれども返せず、最後の返済から5年以上が経過、その間督促等もされていないという場合です。
消費者ローンの時効は5年ですから、この場合は時効にかかっています。
でも、時効というのは債務者(借りている人)が「援用」という手続きを行うことで成立するもので、黙っているうちは債権者(貸した人)に取り立てる権利が残っています。
こういう時は、時効援用の手続きをすれば(内容証明等で、時効を宣言することです)時効が成立してその債務は消滅します。
でも、保証協会から古い債務を通知されたという場合、まだ時効は完成していないと考えた方がいいです。
なんらかの理由で時効が中断・延長されていて、まだ時効が完成していないケース
保証協会から15年前や20年前に代位弁済したとされる債務を督促される(あるいは、その相続人として督促される)のは、たいていこちらのパターンでしょう。
信用保証協会は、倒産した企業が銀行や信用金庫から借りていたお金を一旦肩代わりします。これが代位弁済です。
この時効は、借入先が銀行なら5年、信用金庫なら10年と決まっています。
代位弁済日からカレンダー上で5年、10年が経過すれば時効完成と考えてしまいがちですが、企業倒産に関わる債務の時効は、多くのケースでこの期間では成立しません。
上の「時効援用をしていないから」の場合は、言ってみれば債権者がとぼけて督促してきているようなものですが、こちらの場合は、実際にまだ時効に届いていないので時効の援用はできません。
なぜ代位弁済日から10年以上たっても時効が完成しないのか、以下で説明します。
信用保証協会の時効が完成しない理由
時効は破産手続き終結の日まで中断されている
私が信用保証協会から受け取った通知は、
「死んだ父が連帯保証人だった会社の債務を保証協会が代位弁済していて、私はその法定相続人だ」
という内容のものでした。
私は県外に転居していますが、父はずっと地元で暮らしていました。
地元の状況から考えて元の借入先が信用金庫だったことは簡単に想像がつきます。なので時効は代位弁済日から10年のはずです。
でも通知にある代位弁済日は15年前の日付になっていました。
この債務の時効が成立していない理由は、破産手続き終結日が代位弁済の6年後(正確には5年7か月後)だったからです。
企業が倒産すると、社屋や土地、担保物件などを債権者で分けることになります。
これが破産手続きですが、土地や車両などすべてを清算するには相当な時間がかかります。数年かかることも稀ではありません。
この配当が済んでようやく「破産手続き終結」が公告されることになるのですが、この手続きの期間、時効は中断されています。
私のところへ突然地元の保証協会からの通知が届いたのは、破産終結の日から9年8か月が経った頃でした。
なのでまだ時効の10年を過ぎていなかったのです。
時効が大幅に伸びる要因としてまず考えられるのが、この、破産手続き終結の日は代位弁済日より何年も後になるということです。
信用保証協会の債務が時効を完成することはほぼあり得ない
信用保証協会から債務が通知されたら、その債務はたいていまだ時効を迎えていません。
でも、延長された時効ももう目の前かもしれません。
その場合、このまま無視しておいたら時効を過ぎるんじゃないかと考えることがあるでしょう(私は考えました)
それが、そうも行かないのです。
信用保証協会は、あらゆる手段を使ってどこまでもどこまでも時効を延長してきます。
どういう方法で伸ばすのか、次で説明します。