【あしたのジョー全出来事127】カーロス南郷戦 ジョーだけに見えるカーロスの肘打ち
2017/11/10
「あしたのジョー」すべての出来事を漫画とアニメの違いを確認しながら振り返っています。
アニメ、漫画の該当箇所も書いておくので「あの場面は、何巻だっけ?アニメの第何話だっけ?」と思った時にもご活用ください。
Contents
エピソード
カーロス・リベラと南郷浩二の試合です。
カーロスは、思慮のない大振りでいたずらに体力を消耗しているように見えます。
とても世界ランカーとは思えない稚拙なゲーム運びに、解説は、看板倒れの選手であると言いはじめています。
実はコレは、カーロスのいつもの芝居なのです。
対する南郷は、固いガードとそこそこ正確な攻めで着実にポイントを重ね、もう最終ラウンドです。
勝利は確実、世界ランキング入りが目の前…と、多くが思ったそのとき、カーロスのラッキーパンチに南郷は、見るも無残なダウン。
カーロスは、「ラッキーパンチ当たってわたし勝った!」だとか、きゃーきゃー言っていますが…
「どうやらカーロス・リベラというのは、前評判ほどたいしたことはない選手で、南郷のほうが実力では上回っていたけれども、ラッキーパンチに当たって負けた。不運だった」
と、観る者はそう思い込み、カーロスを甘く見た原島龍が次の対戦を受けます。
でも、ジョーはそう思っていません。
ジョーには、カーロスが肘を使ったのが見えていました。
フックを打ち込んだ後に、流れる肘をフックと同じ部位に当てているのです。
意図的にやれば反則ですが、動きが早く、レフェリーにも見えていないようです。
該当箇所
コミック:11巻 P.91~178
アニメ1:第71話「無冠の帝王カーロス」
アニメ2:第7話「さまよえる…野獣のように」
コミックの掲載箇所としているのはKCコミックでのページです。
原作とアニメの相違点
試合を観るジョーの状況が違う
原作では、ジョーはこの時ドサ回りに出ています。
カーロス戦の序盤は、ジョーもどこかの田舎の神社で仕事中でした。
八百長でジョーが勝つと決まっていると聞き、納得できないジョーと興行師が揉めています。
この日のジョーの試合は、雷雨で中止になり、ジョーは八百長を免れます。
同じ時間にカーロスは、東京のリングで芝居を打っています。
カーロスが下手なふりをしているだけで、対戦相手の南郷は、カーロスが本気でやっていると思っているので、八百長とは違いますが、こういうのは、どう呼ぶのでしょう。
雨で神社を引き上げたジョーは、宿のテレビでカーロスの9R以降を見ます。
カーロスの肘打ちに気付かないドサの面々は、それ以上ボクシングの話もせず、酒や花札に夢中ですが、ジョーだけは、演技しながら狙い通りの勝ち方をしたカーロスのスケールの大きさに心を奪われます。
折りしも窓の外は雨が上がりました。
ジョーは、まだぬかるみの残る道を走りに行きます。
アニメ1は原作と大体一緒です。
ジョーは前日にカーロスと会って話をしているので、今夜カーロスが秘密兵器を使うことを知っています。
なんとしても試合を観たいジョーは、仕事をサボって会場へ行こうとするのですが、興行主の半泣きを見かねて稲ちゃんがジョーを止め、興行師にはTVを買ってくれるよう頼みます。
ジョーは、草拳闘場のテントの中でカーロスの試合をTV観戦。
やはりジョーだけがカーロスの技に気付き、テントを出て走り始めます。
走りに行くジョーに「見てよかったようだな」と言う稲ちゃんは、ジョーは東京へ帰るべきだと考えているようです。
試合後のインタビューでカーロスが、この勝利を誰に伝えたいかと聞かれ「ジョー・ヤブキ」と答えるのは、アニメ1だけの出来事です。
アニメ2にドサ回りエピソードはないので、試合の日、ジョーは山谷にいます。
白木ジムから送られてきたカーロス戦の招待券で会場へ出かけたジョーは、後楽園ホールのエレベーターで葉子と一緒になり、カーロス・リベラは力石のように強いのか?と尋ねています。
強さだけでなく、力石のように強いのか?という質問は、つまり、力石のような魅力のあるボクサーかということでしょう。
今から試合を観るのに素人の葉子にボクサーの資質について聞くのは、あまり意味のあることではありません。
ましてやジョーにとって力石のように殴りがい殴られがいのある男かどうかは、ジョーにしか分かりません。
ジョー自身は意識していませんが、力石を失った苦しさをこういう形で葉子に吐露しています。
アニメ2では、リング復帰するジョーが、葉子から「力石くんと戦っていた頃のあなたと違う」と言われ、「じゃあもう一度力石を連れてこい」と返す場面もありました。
内心ではいつまでも力石に焦がれ続けていながら、それをぶつける相手は葉子の他にいないジョーと、戻ってはこない力石のため、力石のいた頃のジョーを生き返らせようと手を尽くす葉子という構図は、アニメ2で特に顕著に出ています。