「ザ・テラー」S1最終回「命果つる地」ネタバレ感想とアグルカの噂など

ザ・テラー」は、ダン・シモンズの小説「ザ・テラー 極北の恐怖」をドラマ化したものです。

10話で構成される「ザ・テラー」シーズン1第10話(最終話)のあらすじを紹介します。

最終回。フランシスは狂ったヒッキーと対峙することになります。




「ザ・テラー」 エピソード10「命果つる地」のあらすじネタバレなし版

造反グループを率いるヒッキーは、神のようにふるまっています。

本隊の隊員たちが身の振り方を考え、ある決断を下す頃、ヒッキーに連れ去られたグッドサーもひとつの計画を練っています。

グッドサーのすることは、実に意外な展開を呼ぶことになります。

ザ・テラー エピソード10「命果つる地」のあらすじと感想-ネタバレ版

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ヒッキーはフィッツジェームズのブーツを履いている

連行されたフランシスを「クロージャーくん」と呼ぶヒッキーの履いているブーツには「J・F」と書かれています。

これはフィッツジェームズの履いていたブーツです。

見つからないように埋めたフィッツジェームズの靴をなぜヒッキーが?

墓を掘り起こしたとしか考えられませんが、盗んだのが靴だけとは思えません。

フランシスと病人を捨てて南へ

本隊のキャンプでは「隊長を助け出しに行こう」と強硬に主張するリトル副長他の隊員が「隊長の命令に従って南へ向かおう」と説得しています。

隊員は南へ出発しました。

病人のテントの前にいくつかの缶詰を置いて。

物音に気付いたジョプソンがテントから這い出してきますが、立ち上がって追う力が残っていません。

やがてジョプソンの目に豪華なテーブルでハイティーを楽しむフランシスの幻覚が浮かびます。

ジョプソンは、フランシスがつかまったことなど知らないのです。

数日前、自分を看病していた隊長が、誰一人置いては行かないと断言した隊長が、自分を置き去りにして行ってしまう。

ジョプソンはそう思っています。

グッドサーの犠牲

フランシスの手当てをするグッドサーは、ヒッキーたちがギブソンを食べたことを話し、もう自分は医師ではないと言います。

そして、「いずれ死んだときフランシスだけは私を食べないでくれ。もしも強要されたら足の裏の一番固い部分だけを食べるように」と念を押しました。

深夜。

グッドサーは洗面器に何かの薬剤を溶かし、全身に塗っています。足を除く全身に。

それが済むと残りの薬を飲み干し、アスコットタイを締めて寝台に横たわると、両手首を切りました。

朝、遺体が発見されれば、手首を切っての自殺と思われるでしょう。

ヒッキーは、グッドサーのその行為を「死んで肉を与えてくれたのだ」と解釈し、造反組のテーブルにはもう肉の切れ端が並んでいます。

ヒッキーは、末席に座るゴールディングを立たせ、フランシスにそこへ座って肉を食べるよう要求しますが、フランシスは従わず、グッドサーの遺体の方へ向かうと、言われた通りかかとを薄く切って一口だけ食べます。

ヒッキーは、「今日は重要な日になる」と言っています。

一団はヒッキーの乗るボートを引いていきますが、どこへ行って何をするつもりなのか誰にも分かりません。

やがてヒッキーの部下たちは体調の異変を訴え始め、嘔吐する者も。

グッドサーが自分の体に仕込んだ毒でした。

実在のグッドサーについてはこちらに
5 ハリー・グッドサー|「ザ・テラー」実在の登場人物と経歴データプロフィール

また、グッドサーの遺骨は見つかっています。詳細はこちらに
19 「ザ・テラー」出版後に判明した事実:グッドサーの遺体はきちんと埋葬されていて食べられた可能性は低い

グアム?オアフ?

ヒッキーは、トゥンバックをおびき寄せようとしているようです。

でも仕留めるのではないと言います。

そして唐突にイギリスにいたころの殺人を告白します。

北極へ向かう船があると聞き、乗員になるはずだったコーネリアス・ヒッキーという男を殺して成り替わったのだと。

ヒッキーは、どこかの島で脱走してグアムかオアフか…南の島へ向かうつもりだったと言いますが…

直接行く方法考えた方が早いだろ。

身分や家柄に恵まれずに育ったヒッキーは、大英帝国、王室、教会…すべてを憎んでいたのでした。

たとえ王家に生まれても早晩破綻する人にしか見えませんが…

それでトゥンバックになんの用があると言うのか。

トゥンバックの最期

ヒッキーの望んだとおりトゥンバックが現れました。

隊員たちに次々襲い掛かり、いとも簡単に食いちぎっていきます。

一人また一人とトゥンバックに食われ、フランシスと同じ鎖につながれたホジソンも飲み込まれました。

フランシスは、トゥンバックの喉と鎖でつながった格好になります。

トゥンバックが動くたび大きく振られ、地面にたたきつけられ…。

まだボートの上に突っ立っているヒッキーは、口の周りが血まみれです。

舌を切っているようです。

舌を献上すればトゥンバックを操る力が得られると思っているのでしょう。

トゥンバックを支配し意のままに動かす力。

これこそがヒッキーの求めていたものでした。

赤い舌の乗った手を大仰な仕草でトゥンバックのほうへ差し出すヒッキーでしたが、トゥンバックは意に介すふうもなく腕ごと噛みつき、持ち上げた胴をちぎって捨てます。

王になり神になろうとしたヒッキーは、あっけなくトゥンバックに噛み殺されました。

最後のひとりとなったフランシスはまだ鎖でトゥンバックの喉とつながったままです。

引きずり込まれまいと必死に鎖を引きますが、力の差は歴然としています。

ところが、ふいにトゥンバックの力が弱まり、大量に嘔吐しながら横たわって動かなくなりました。

造反部隊が出発の前に食べたグッドサーの毒に当たったのでしょう。

トゥンバックの絶命を見届けると、気力の途絶えたフランシスも気を失ってしまいます。

トゥンバックについてはこちらに

ザ・テラーの怪物トゥンバックはイヌイット神話に付け加えられた創作です
ドラマ「ザ・テラー」では、北極探検に遭難した隊員が謎の怪物トゥンバックの襲撃を受けます。創作なのは明らかですが、劇中のイヌイットはトゥンバックのことをよく知っています。トゥンバックはイヌイットの神話なのか、なぜ北極に暮らしてなぜ隊員を襲うのか原作の記載やドラマスタッフの話から情報をまとめました。

レディ・サイレンスの介抱

どれくらいの時間がたったのか、トゥンバックを探してレディ・サイレンスがやって来ます。

持ってきた水を死んだトゥンバックに与えますが、泣いたりはしません。

フランシスがまだ生きているのに気付いたサイレンスは、施錠された鎖が切れないと分かると手斧で手首を切ってフランシスを連れ帰ります。

意識のないままレディ・サイレンスの手当てを受け、何日たったのでしょう。

フランシスは目覚め、イヌイットの娘に助けられて彼女の家にいることを理解します。

最後の隊員

フランシスは、レディ・サイレンスとふたりで島を歩いて隊員たちを探します

最初はサイレンスが一人で引いていた橇を途中からはふたりで引きながら。

凍った海を渡ると崩れかけたテントが並んでいます。

テントの中には動かなくなった隊員ばかり。

たったひとりだけ、まだ息のある者がいました。

金の鎖を皮膚に縫い付けるように突き刺した異様な男は、リトル副長でした。

「エドワード」

フランシスの声が分かったのか、リトルは小さく

「近くに」

とだけ言って息を引き取ります。

こうしてフランシスを除く全隊員が死亡しました。

顔にネックレスらしきものを縫い付けたリトルはいかにも異様ですが、実際にあの状態になっている遺体があったのだそうです。

詳しくはこちらに
13 ザ・テラーの中の実話:顔にペンダントを縫い付けた遺体

シルナ

ひとりになったフランシスにイヌイットの長は「冬の間はここで暮らせ」と言います。

春になったらどうするのか考えろと。

ずいぶん寛大な話です。

この地へ踏み込み、複数のイヌイットを殺し、最後はトゥンバックも死なせたのに。

イヌイットたちは、フランシス個人を恨んではいないみたいです。

この時、レディ・サイレンスの名が「シルナ」と分かります。

翌朝、フランシスはシルナを探しますがどこにもいません。

トゥンバックを死なせたらそのシャーマンは集落を離れてひとりで暮らすのが習わしなのだそうです。

誰に聞いてもシルナの行方を知る者はいません。

事態を受け入れられずにいるフランシスの手に、シルナの掘った小さな船の置物が渡されました。

ジェームズ・ロスの捜索とフランシス

そして冒頭の場面が繰り返されます

フランシスの友人ジェームズ・ロスがフランクリン隊の捜索にやって来ます。

どう話すのがいいのかと意向を聞かれたフランシスがイヌイットの長に託した言葉は、「探すな。私たちはもういない。みんな消えた」でした。

ドラマのフランシスが、どんな気持ちでイヌイットの社会で生きると決心したのか、はっきりとは分かりません。

隊員を全員死なせて自分一人が故郷へ帰るわけなはいかないという自責の念からなのか、トゥンバックを殺してシルナの運命を変えたのに自分だけが元の生活に戻っていいはずがないと思ったのか。

あるいは、イヌイットとして暮らすほうが幸せだと感じていたのかもしれませんし、もっと現実的に、国へ帰れば軍法会議は免れず、どれほどの刑罰を受けるか分からないからかもしれません。

私は、帰らないことが自分への罰だと考えていたからかなと思います。

ヒッキーに「あんたは自分を許すのか」問われたフランシスが「それが分かるのは旅の終わるときだ」と答える場面がありますが、フランシスの出した答えがこの罰なのかなと。

もしも積極的にここにいたいという思いで生活しているのだとしたら、ジェームズに会って話したと思うのです。

フランシスが死んだと聞いたジェームズがどれだけ落胆して悲しむかは想像がつきます。ならば、ここで幸せに暮らしているのだと知らせるほうがいいはずです。

いずれにしろ、フランシス・クロージャーという人間がもう消えたのは事実であり、二度と帰るつもりはないのでしょう。

ただ、フランシスが残りの人生すべてを受刑者の心境で暮らしていたのかと言うと、そうでもないんじゃないかと。

最後にフランシスがモリを持って座っているところが出ます。

あれは氷の穴から顔を出すアザラシを待ち構ている図と思われます。

今はどうか分かりませんが、当時のイヌイットはああして何時間もアザラシを待っていたと言います。

本当にのんびり。

自分たちの食べる分だけ獲ればいいという生き方です。

そんな暮らしも悪くありませんし、背中にくっついて眠っている子供はフランシスの子かもしれません。

イギリスに帰ってもフランシスには何もありません。

部屋の収納はからっぽで、外へ出れば自分を認めない社会と思わせぶりな女がいるだけ。

帰ったほうがいい理由もないのです。

私の想像はつまり…

フランシスは自分への罰として北極に留まり、だから親友のジェームズにも会わなかった。

でもいつかある日に、フランシスは今の自分がイギリス時代よりも幸せだと気付く。

…ちょっと私個人の希望が入っていますが、こんな感じならいいなと。

物語の終わりはドラマと原作で大きく違う

物語の終盤は原作とドラマで大きく違います。

原作では、助かってからのフランシスの揺れる心情が細かく描写され、様々な道を考えながらあの地に留まると決めるまでの経緯がすべて書かれています。

その過程でフランシスはごく意外なことをしますが、それは生まれる前から決まっていたことでした。

また、原作のフランシスは最後にテラー号を訪れます。

そこでフランシスの見る死体こそが、ダン・シモンズが「ザ・テラー極北の恐怖」に込めたテーマです。

原作のテーマについて私の見解はこちらに書きました

「ザ・テラー」 S1を見た人におすすめの本,アグルカの噂,極地探検,イヌイットetc
ドラマ「ザ・テラー」シーズン1を見た後で読んだ関連本まとめです。フランシスの伝記は洋書しかありませんがフランクリンが主人公の小説(創作要素多め)なら日本語に訳されています。フランシスがイヌイットに助けられて生き延びた噂の真相を探る本やイヌイットと結婚した日本人フランク安田の生涯を綴った本,極地探検のドキュメンタリーなど

ドラマ版はテンポもまとまりも良く、見やすく作られた傑作ですが、おそらく意図的にシモンズのテーマを排除していると思います。

現代を生きる私たちにとっては耳の痛い話なので。

ザ・テラーのシーズン1を気に入った人には、シーズン2よりもむしろ原作をおすすめしたいです。

イヌイットに助けられたアグルカ

フランシス・クロージャーがイヌイットの集落で暮らしたと言うのは創作です。

フランシスがどこで死んだのかは今も分かっていません。

でも…

当時、飢餓状態にあるところをイヌイットに助けられ、回復して、国へ帰るために南へと旅立っていった白人がいたことはイヌイットの間で伝承されています。

その白人は「アグルカ」と呼ばれていました。

そしてフランシスがイヌイットから「アグルカ」と呼ばれていたのも事実です。

詳しくはこちらに
6 ザ・テラーの中の実話:フランシス・クロージャーは「アグルカ」

「アグルカ」と呼ばれた白人男性は複数いて、南へ向かったアグルカがフランシスのことなのかどうか判然としません。

ただ、フランシスが北極圏で死んだのではなく、イヌイットとの生活ののち、北アメリカ大陸を南下した可能性は消えてはいません。

この本にイヌイットの証言がたくさん出ています

北極の厳しさが手に取るように分かる名著です。

キングウィリアム島付近の地理もこの本を読むと理解できます。

「ザ・テラー」シーズン1の実話要素はこちらに
「ザ・テラー」に含まれる15の実話要素をピックアップ

「ザ・テラー」はアンソロジーシリーズになり2019年にシーズン2がスタートしました。

第2次世界大戦時のアメリカの日系人収容施設の物語で、フランクリン遠征のシーズン1とは全くつながりのないドラマです。

「ザ・テラー シーズン2 インファミー」についてはこちらに
ザ・テラー シーズン2「インファミー不名誉」の登場人物相関図