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「孤高のメス」WOWOWドラマ第5話あらすじ感想-空也くんの死

2019年2月11日

現役医師大鐘稔彦おおがねなるひこ氏のベストセラー小説「孤高のメス」がWOWOWでドラマ化されています。

第5話のあらすじを紹介します。

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「孤高のメス」前回まで

実川剛さねかわごう当麻とうま鉄彦は、日本初の生体肝移植手術を手掛けます。

7歳の男児空也君に父親の肝臓の一部を移植する大手術が済み、父子ともに無事と分かると近江大と実川は華々しくマスコミに取り上げられます。

当麻は、手術の朝に倒れた実家の母が危篤との知らせが入り、手術を終えると急いで地元熊本へ帰りますが、間に合わず、母親は亡くなった後でした。

湖水こすい町では町長の大川が吐血して甦生こうせい記念病院へ運ばれます。

孤高のメス第5話のあらすじ

余命3ヶ月の町長大川

甦生記念病院に担ぎ込まれた大川の状態は良くありません。

長年放置した肝硬変が悪化し、肝不全を起こす可能性があるとの診断ですが、肝不全を起こせば助からず、それまで3,4ヶ月しかないと見られています

うろたえる大川の妻と娘のナース翔子に当麻は、生体肝移植をすれば助かる見込みがあると話します。

しかし大川は、娘の臓器をもらうことを頑として断ります。

たとえ大川が承諾しても娘の肝臓は適合せず、移植することができないと分かりました。

当麻は「脳死移植なら…」と言いますが、それが日本では認められていない手術であることを大川も知っていて、たとえ法律で許されても、やはり、家族の身になれば臓器をくれとは言えないと移植を断るスタンスは変わりません。

役場では町長の入院を機に町立病院建設派がまた活発になり、大川が工場を誘致していたマル豊自動車では、「他の候補地と合わせて検討する必要があり、正式な回答には3ヶ月くらいかかる」との返事です。

拒絶反応と脳死移植の道

近江病院には、生体肝移植を受けた空也くんとドナーの父親が入院しています。

空也くんへの移植手術を担当したのが実川父親の肝臓を取り出したのが当麻です。

父親の経過は良く、間もなく退院できそうですが、空也くんは拒絶反応に苦しんでいます。

黄疸や肺水腫が次々起こり、予断を許さぬ状況をマスコミは放っておきません。

移植手術の拒絶反応はよくあることで、医療スタッフとしては、ひとつひとつ対処して乗り越えるしかなく、1年程度経過した時に患者が元気でいるのを確認できて初めて手術は成功と言える。

実川は初めからこう説明しています。

でも連日病院へ詰めかけ、患者の状態を逐一記事にしていたマスコミは、少しでも良くない話が出れば、今度は実川に責任問題を突きつけてきます

日本中が注目する空也くんの容体は日ごとに悪化。

拒絶反応はますます強くなり、「再手術」という選択肢が、実川と当麻の間で浮上します。

当麻はアメリカで同じようなケースを見たことがあり、移植後拒絶反応の出ている患者に再度別の肝臓を移植したところ、見違えるように回復したと実川に話します。

今、近江病院には脳死患者が入院しています。

脳挫傷を起こし生命維持装置で生きながらえているその患者は、あと二週間持つかどうか…

実川は卜部うらべに「脳死移植をさせてくれ」と訴え、卜部は猛反対しますが、空也くんが死ねば卜部の天満橋てんまばし病院院長就任の可能性も消えるのは自明。

卜部は、脳死移植を生命倫理委員会にかけてみようと決めます。

脳死移植手術への道が、かすかに開けた瞬間でした。

その時、その日の京阪新聞が卜部のオフィスに持ち込まれます。

一面には「近江大病院脳死移植か」と見出しされ、近江病院では空也くんへの再手術を、今度は脳死移植でやろうとしているという記事が掲載されていました。

どこから情報が漏れたのかと、実川は首を傾げますが、京阪新聞に話したのは野本医師です。

近江病院に実川が来た際に甦生病院へ転勤させられた野本は、実川を恨み、近江病院の後輩に情報をさぐらせています。

脳死患者の状態を確認する実川の様子から脳死移植を企てていることに勘付いた後輩が野本に密告したのです。

まだ倫理委員会も開かれないうちに脳死移植が記事になり、怒った阪神大学病院院長徳武から卜部に電話が入ります。

徳武は肝移植研究会の会長で、今のところ移植には慎重な立場です。

独自に肝移植ガイドラインを定めている徳武は、近江病院が生体肝移植に踏み切ったときから腹を立てていて、立て続けに持ち上がった脳死移植の件に激怒しています。

電話の向こうからえらい剣幕で怒鳴りつけられ、卜部は「脳死移植などデマ。近江病院でやる予定はない」と答えてしまいます。

脳死移植実現への道は、野本のリークによって潰えました。

それから間もなく空也くんは死にます

野本は明らかに喜んでいます。

当麻のドナー手術が問題になる記者会見

慌てたのは卜部です。

卜部は元々肝移植などやらせるつもりもありませんでしたが、国立天満橋病院の現院長扇谷おうぎたにから、「徳武に匹敵する成果を上げれば次期院長に推薦する」と持ち掛けられ、実川の手術を利用したのです。

手術はおおいに話題になり、卜部の株もあがっているところでの男児の死亡は、あまりに大きいダメージです。

必死に策を練ったのでしょう。

卜部は、他院に責任を押し付けて切り抜けようと考えます。

手術の日、当麻は朝から実家の母の容体が気になっていた

そして手術の途中で帰った

どちらも事実では、あります。

「だからドナー肝に問題があったのではないのかね」と実川を誘導する卜部の魂胆に実川は気付きますが、賛成も反対もしないまま、空也くんは死に、近江病院では記者会見が開かれます。

京阪新聞の上坂が質問します。

手術ミスがあったのではないですか?」

横にいた卜部が「実川君のオペは完璧でした」と答え、続けて「問題があったとすればドナー肝のほうかと…

上坂は実川に「同じ見解ですか」と尋ね、実川が何も言わずにいると「ドナー肝の何が問題だったのですか」と質問を変えました。

実川はどう答えるのでしょう。

第5話はここで終わりです。

脳死したら臓器提供したいと言うまこと

青木の恩師の息子まことは、アメリカにホームステイした経験があり、そこで脳死移植で助かるケースを身近に見ています。

自分が脳死した場合のことも考えていて、家族ならもちろん他人でも臓器を提供したいと言うと、青木も母親も深い思案に驚くのでした。

ドラマの舞台は1989年です。

現在とは脳死や臓器提供に対する感覚の違う時代だったことが分かります。

「孤高のメス」5話の感想

時の人から一転窮地に立たされる実川が、当麻の手術に不備があったことにしようとする卜部にどう対応するのか、記者会見の途中で5話は終わります。

実川はどうするでしょう。

当麻の理想は、地方でも都会の大病院と変わらない医療を受けられる体制ですが、実川の目標は「負けない医者」です。

医師だった父が大学病院のミスを押し付けられる形で医局を追われ、酒におぼれて死んだのを見た少年実川は、母にそう宣言しています。

「負けない医者」とは様々な解釈のできる言葉です。

実川は、肝移植実現のために戦略的に動いてきた人で、ある意味とても野心的な一面もあります。

公の場で嘘を言うこともないとは言い切れません。

実川が黙っていたとしても、卜部が手術当日の当麻の母のことをしゃべれば、当麻は否定しないでしょうし、手術を見届けずに帰ったことを後悔しているとマスコミに話してしまうかもしれません。

当麻の立場が危うくなれば青木も巻き込まれます。

実川と当麻はもちろん、近江病院のスタッフは誰もが、空也くんの回復のために手を尽くしたでしょう。

残念な結果であっても実川に深く頭を下げる父親の態度からも献身的な治療と看護がなされたことが分かります。

一方で、手術が失敗に終わったと知って喜ぶ医師も。

患者のことを考えて行動する医師は矢面に立たされ、そうでない医師は安全な場所に。

残念です。

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