【あしたのジョー全出来事40】「泪橋を逆に渡っていこう」ジョー山谷へ帰る
2017/10/12
「あしたのジョー」すべての出来事を漫画とアニメの違いを確認しながら振り返って行きます。
アニメ、漫画の該当箇所も書いておくので「あの場面は、何巻だっけ?アニメの第何話だっけ?」と思った時にもご活用ください。
今回は、少年院を退院したジョーがドヤ街へ帰り、山谷連と西に再会するところです。
Contents
エピソード
少年院を退院したジョーが段平と一緒に山谷に帰ると、ドヤ街の住人達がジョーに気付いて集まってきます。
住人達は懐かしいジョーを取り囲んであれこれ話しかけますが、段平は、早くジョーにジムを見せたくてうずうずしています。
段平がジョーを案内したのは、あの泪橋でした。
橋の下に丹下拳闘クラブの看板が見えます。
ジョーを迎えるため、段平とドヤの子供達が用具や設備を整えていたのでした。
段平は、ジョーを橋の上に呼び、泪橋の由来を話します。
この橋は、人生に敗れた者達が涙で渡る橋だと。
そして、
二人で苦しみ二人で歯をくいしばって
この泪橋を逆に渡っていこうKCコミックあしたのジョー(5)P72 (c)高森朝雄・ちばてつや2012
と言います。
泪橋という橋は今はなく、橋のあった場所は交差点になっていますが、東京の北東、奥浅草と呼ばれるエリアのぎりぎり端っこです。
上野から北東に進むと吉原があり、さらに北東にあるのが泪橋です。
位置関係はこんな風です。
なんとなく泪橋の場所柄と言いますか、立場のようなものを感じ取ってもらえるかと思います。
繁華街の奥に大人だけの場所があり、そのさらに奥が山谷です。
江戸時代には橋の北側に処刑場があり、華やかな浅草の端の端にある裏寂しい場所だったことでしょう。
今では、泪橋のさらに北側もキレイになって最果てという雰囲気ではなくなりましたが、ジョーの頃、昭和40年代にはまだ開発が及ばず、家をなくして安宿に寝泊りする人を受け止めるという役割の色濃い地域だったようです。
丹下拳闘クラブには、リングはもちろん、サンドバッグやパンチングボールもあり、子供達のアイディアでトイレやシャワーまで作られていました。
そこでジョーは、西と再会します。
退院した西は、段平のもとでプロボクサーを目指してトレーニングしていたのでした。
「二人で苦しみ二人で歯をくいしばって」…追及せずにおきましょう。
該当箇所
コミック:5巻 P.65~84
アニメ:第24話「帰ってきたドヤ街」
コミックの掲載箇所としているのはKCコミックでのページです。
原作とアニメの相違点
力石がちょっかいを出すか出さないか
アニメでは、ジョーが子供達との再会を喜んでいるところへ力石から葬式の花輪が届きます。
怒ったジョーは白木家に乗り込もうとしますが、西は、それを止め、力石と戦うならリングの上でやれ、今の力石にかなうはずがないと言うのですが、そこからひとりで発展して、社会はきびしいなどなど言いながら泣き出します。
ジョーと力石はうれしくてやってんだから会いに行かせてやったらいいのにと思わないでもないですが、西の言いたかったのは「社会はきびしい」と、こちらのほうだったのかもしれません。
今の西は、すっかり真面目な青年になっていますが、練馬鑑別所では仕切っていたくらいで、乾物屋でどやされながら働くことがまったく辛くなかったはずがありません。
不良少年が更生するときの現実に西が内心で苦しんでいたことが垣間見えるのは、この場面だけです。
原作では、力石はジョーの退院に際しては何もしませんし、西も社会の厳しさを語ったりしていません。
段平の「泪橋を逆に渡る」のタイミングが違う
原作では、山谷に帰ってすぐに橋の話をしますが、アニメでは夜の宴会の最中に段平がジョーを橋の上に呼び出して話します。
これにはちょっとした事情の違いもあります。
原作では、ジョーが捕まる前に段平が建てていた掘っ立て小屋は、泪橋ではなく風来橋という橋の下にあったのです。
KCコミックあしたのジョー(1)P81 (c)高森朝雄・ちばてつや2012
少年院を出て帰ってくると丹下邸が移転していたという流れなので、ジョーが泪橋の下に暮らすのは、これが初めてです。
アニメでは、段平の小屋(家)は、はじめから泪橋の下です。